- 寝袋ってどうやって選べば良い?
- 寝袋の種類って何があるの?
- 安い寝袋じゃダメ?
キャンプの夜は普段の就寝時に比べると冷え込むもの。
シュラフ(寝袋)はキャンプでの快適な睡眠を得るためにも大切ですが、夜間の体温の低下を防ぐためにも重要なアイテムです。
今回の記事ではそんなシュラフの種類や選び方の解説に加え、おすすめのシュラフやキャンプの睡眠に関する様々な知識を紹介してきます。
オールシーズンキャンプを楽しんできた経験から、寝袋選びのポイントを具体的に解説していきます。
ネットで販売されている格安シュラフが気になる方のために、そういったシュラフを購入する際の注意点も解説。
正しくシュラフを選んで、キャンプの夜を安心して過ごしましょう!
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シュラフの構造と中綿の種類
一口に寝袋と言っても構造や中綿によって使用感は大きく異なります。
寝心地への影響も少なくないため、寝袋購入時には構造と中綿の2点はチェックしておきましょう。
構造の種類
シュラフの構造は大きく2種類に分けることができ、四角形の封筒型とミノムシ状のマミー型があります。
ちなみにマミー型の由来はミイラを意味するマミー(Mummy)が元となっているようです。
封筒型
- 封筒型シュラフのメリット
- ・程よく空気が通り蒸れにくい
・寝心地がゆったりしている
・寝返りしやすい
・比較的低価格
封筒型シュラフはゆったりとした寝心地が魅力で、広めなシュラフ内部は寝返り時もストレスがありません。
ファスナーを開いての温度調整も簡単で、夏はもちろん春や秋までの幅広い季節に対応できるものも多いです。
封筒型シュラフは全体的に低価格に設定されていることもあり、キャンプ初心者の方にもおすすめです。
- 封筒型シュラフのデメリット
- ・すき間ができやすく寒い時期には不向き
・冬季まで対応できるものが少ない
封筒型シュラフのメリットであるゆったりとした形状は、寒い時期には冷気が入り込みやすいというデメリットになってしまいます。
冬季まで対応できる封筒型シュラフはそもそも数が少なく、対応している場合も収納サイズがかなり大きくなってしまうというデメリットがあります。
マミー型
- マミー型シュラフのメリット
- ・封筒型に比べて軽量コンパクトなものが多い
・封筒型に比べてより低温まで使用可なものが多い
・すき間が出来にくく保温能力が高い
マミー型シュラフは封筒型シュラフに比保温能力が高いため、冬季などの寒い時期でも比較的暖かく過ごせるのがメリットです。
顔以外の部分をすき間なく包み込むことが出来るため、シュラフ内まで冷気が入ってくることもなく非常に温かく眠ることが出来ます。
またマミー型シュラフはコンパクトなものが多いため、低温まで対応できるシュラフでも荷物が多くならないというメリットもあります。
- マミー型シュラフのデメリット
- ・夏場は保温能力の高さがデメリットになる
・シュラフ内が細めで寝心地は封筒型に劣る
マミー型シュラフはすき間を無くして保温能力を高めているので、真夏などの暑い時期には熱がこもって蒸し暑くなってしまいます。
夏も含めた3シーズン対応のマミー型シュラフもありますが、封筒型に比べると温かいものが多いため夏場の使用にはあまり適しません。
また体に密着するような使用感になるため、寝心地は多少圧迫感があります。
中綿の種類
シュラフの中綿に関しても、大きく分けると化学繊維とダウン(羽毛)の2種類に分けることができます。
ざっくり言うと、化繊中綿は実用的だけど重く、ダウン中綿は軽いけど手入れ等に気を使う必要があります。
化学繊維
- 化学繊維中綿のメリット
- ・水濡れに強い
・手入れが簡単
・比較的安価
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維(化繊)の中綿は水濡れに強く、少々濡れても保温力が落ちにくいというメリットがあります。
手入れに関しても化繊の寝袋は洗濯機で丸洗いできるものも多く、清潔な状態を維持しやすいのも魅力です。
またダウンシュラフに比べて低価格ながら性能は十分なものが多くコスパも高いと言えます。
- 化学繊維中綿のデメリット
- ・重量がありサイズも大きめ
化繊シュラフの唯一のデメリットは、サイズが大きく重くなってしまう事。
特に氷点下まで対応するような化繊の冬用シュラフは収納時の直径が20~30㎝程度のものが多く、重量も2㎏前後とそこそこ大きな荷物になります。
車移動であればあまり問題になりませんが、徒歩やバイクなど荷物の量に制限がある場合は注意しましょう。
ダウン
- ダウンのメリット
- ・収納時にコンパクトになる
・非常に軽量
ダウンシュラフのメリットは何と言ってもコンパクトさと軽さ。
中綿の量が多い冬用シュラフでも収納時の直径15㎝~20㎝前後と、同クラスの化繊シュラフと比べても5㎝以上コンパクトになっています。
また冬用シュラフであってもほとんどが1㎏台と軽量なので、登山やツーリングキャンプでも持ち運びの負担を減らすことが出来ます。
- ダウンのデメリット
- ・水濡れに弱い
・手入れに気を使う
ダウンは水に弱く、濡れると保温力が大きく落ちてしまうというデメリットがあります。
多くの寝袋が撥水加工などを施していますが、雨やテント内の結露によって長時間水に触れると内部まで濡れてしまう可能性が有るので注意が必要です。
手入れに関しても収納時にダウンの偏りが出さない為あえてクシャクシャに収納したり、ダウン専用の洗剤の使用など注意点が多いため、長く性能を維持するためにはきちんと手間をかける必要があります。
シュラフ選びのポイント
シュラフは快適な睡眠を得るためだけでなく、睡眠中に寒さから身を守るためにも非常に重要なキャンプギア。
そんなシュラフを選ぶうえで意識したい3つのポイントについて紹介します。
使用温度で選ぶ
シュラフを選ぶうえで最も重要になるのは、デザインでも価格でもなく使用可能温度。
寝袋の使用可能温度の表記は大きく3つあり、それぞれ以下のような意味合いが有ります。
快適温度(コンフォート温度):比較的代謝の低い(寒さを感じやすい)人が快適に眠れる温度
下限温度(リミット温度):比較的代謝が高い(寒さを感じにくい)人が寝袋の中で丸まって眠れる温度
エクストリーム温度:代謝の低い(寒さを感じやすい)人が6時間耐えられるギリギリの温度
シュラフ選びでは下限温度ではなく快適温度が一番の目安で、快適に眠るためにはキャンプをする時の最低気温よりも快適温度が5~10℃ほど高いものを選ぶのが一般的。
多少暑いくらいのシュラフであってもファスナーを開ければ涼しく使う事も出来るため、使用温度に余裕を持ったものを選びましょう。
例として快適温度0℃のシュラフの場合、最低気温が5~10℃以上の環境での使用に適しています。
また使用温度はその気温に適した服装でシュラフを使用することを想定しているため、シュラフが温かいからと言って防寒着の用意を怠ることが無いようにしましょう。
エクストリーム温度の表記が無い場合も有りますが、生存ギリギリの温度の目安なのであまり使えません。
中綿の種類で選ぶ
同じ使用温度のシュラフであっても、中綿が化繊の場合とダウンの場合では価格も軽さも大きく異なってきます。
一見最優秀とも見えるダウンシュラフですが、ダウンと化繊のメリットデメリットは先述の通りで、決してダウンが特別優れるわけではありません。
予算的な余裕がある方や荷物を減らしたい方にはダウンがおすすめですが、私個人の意見としては普通のキャンプで使用する分には化繊シュラフも十分おすすめ。
化繊シュラフは使用温度の割りに低価格で、収納サイズさえ許容できるのであればかなりコスパの良いシュラフです。
ただし化繊の冬用シュラフとなるとそれなりの大きさと重さになるため、徒歩やツーリングキャンプの方には不向きです。
コンパクトさ・軽さ重視ならダウンを、コスパ重視なら化繊の中綿を選ぶと良いでしょう。
形状で選ぶ
温かさや寝心地に大きな影響を与えるシュラフの形状も、シュラフ選びの重要なポイント。
温かい時期に使用するなら蒸れにくく動きやすい封筒型、寒い時期であれば保温能力の高いマミー型シュラフがおすすめです。
実際夏用のマミー型シュラフというのは少なく、寒い時期向けのシュラフほどマミー型が多くなります。
春や秋に使用するシュラフはどちらの形状を選べば良いか迷ってしまいますが、暑がりな方は封筒型を、寒がりな人はマミー型を選ぶと快適に眠れるでしょう。
下記のシュラフのように首回りはしっかりカバーできるマミー型でありながら、胴部分は封筒型のゆったりさを持ったシュラフもあるので、真冬を除いた3シーズン使用であればそういったシュラフも便利です。
おすすめシュラフ4選
数あるシュラフの中から、個人的におすすめできるシュラフを4つに絞り込んで紹介。
全て化繊のシュラフでダウンシュラフは入っていませんが、どれもコスパの高い良いシュラフです。
気軽に使えて手入れが楽な点からも、初めてのシュラフの場合は特に化繊のシュラフがおすすめです。
コールマン パフォーマー
コールマンのパフォーマーシリーズは、長方形のオーソドックスな封筒型シュラフ。
パフォーマーシリーズは快適温度15℃以上のC15、10℃以上のC10、5℃以上のC5の3種類があるため、使用環境や好みに合わせたもの選べるのが魅力です。
全て洗濯機での丸洗いが可能であり、価格もC15が3,480円(税込み)、C10が4,580円(税込み)、C5が5,790円(税込み)とかなりコスパの良いシュラフです。
ファスナーが大きく開くので、暑い時はファスナーを開いて掛け布団のように使ったり、全開にすれば敷布団のように使用することも可能です。
暑がりな方や温かい時期メインであればC10を、寒がりな方や春・秋まで使いたい方はC5を選ぶと良いでしょう。
低価格でありながらキャンプを楽しむには十分な仕上がりなので、予算を抑えてキャンプを始めたい方にもオススメできるシュラフです。
C15は完全真夏用なので、夏以外もキャンプを楽しみたい場合はC10かC5で選ぶのがおすすめです。
コールマン マルチレイヤースリーピングバッグ
コールマンのマルチレイヤースリーピングバッグはアウトレイヤー・ミッドレイヤー・フリースレイヤーの3層からなり、4シーズンに対応できる万能な封筒型シュラフです。
3つのレイヤーを好みに応じて組み合わせることが出来るので、このシュラフひとつで厚手の冬用シュラフとしても薄手の夏用シュラフとしても使うことが出来ます。
全レイヤーを合わせた場合の快適温度は-5℃と冬場のキャンプにも十分対応可能。
季節ごとにいくつも寝袋を用意する必要も無くなり、状況に合わせて快適な温度で過ごせるのが魅力的。
色々な季節でキャンプを楽しみたいけど何個もシュラフを用意するのが面倒…という方には特にオススメです。
大きく重いデメリットも車であれば問題無いレベルです。
Snugpak マリナースクエア
寝袋を中心にテントやウェアなど様々なギアを送り出している、イギリスのメーカーSnugpak(スナグパック)。
そんなSnugpakのマリナースクエアは春~秋の3シーズンを過ごせる快適温度-2℃のマミー型シュラフで、高い撥水・透湿性能を持っている高性能なシュラフです。
マリナースクエアの中にもジッパーの位置でいくつかの種類があり、右側が開くライトジップ・左が開くレフトジップ・中央が開くセンタージップが有ります。
レフトジップとライトジップの組み合わせであれば連結して一つのシュラフとして使う事もできます。
首肩周りまでしっかり保温できるマミー型でありながら、胴体部分は幅広で余裕があるため寝心地もゆったりとしていて、温かさと快適な寝心地を両立しているのが魅力。
ファスナーを全て開けばシュラフを完全に開くこともできるので、暑い時期には敷布団として使用したり足を出して温度調整をすることも可能です。
冬以外の季節にキャンプを楽しみたい方、コスパが良く高性能なシュラフが欲しい方には特におすすめな一品です。
似たシュラフとして、暑がりな方には快適温度3℃のノーチラスもあります。
Snugpak softie elite
Snugpakのシュラフの中でも特に保温能力が高く、収納サイズや軽量さの面も優秀なsoftie elite(ソフティーエリート)シリーズは寒い時期のキャンプにピッタリ。
エリート2からエリート5までの4種類のラインナップが有り、最も薄手のエリート2は快適温度2℃、最も温かいエリート5は快適温度-15℃となっています。
私は-10℃まで対応のエリート4を冬キャンプで愛用しています。
化繊の冬用シュラフとしては圧倒的にコンパクトに収納することができ、高い撥水性能や蒸れにくい透湿性能のある生地を使用しているため睡眠時も快適です。
同等の使用可能温度のダウンシュラフと比べても一万円以上も安く、冬用シュラフとしては抜群にコスパが良いのも魅力です。
またsoftie eliteシリーズはシュラフ幅を2段階に切り替えることができ、暖かい時は幅を広げて保温能力を下げるといった調整も可能です。
価格も安く性能も申し分ないので、これから冬キャンプにチャレンジする方にも本気でおすすめしたいシュラフです。
softie elite4についてのレビュー記事も書いているので、良ければ合わせてご覧ください。
格安シュラフは良くない?
シュラフの選び方の解説やおすすめシュラフを紹介してきましたが、この記事を読んで下さっている方の中には「ネット通販の激安シュラフでも良いんじゃないの?」なんて思っている方もいるでしょう。
私自身そう考えていた時期も、実際に激安シュラフを購入した経験もあります。
私の経験上、激安シュラフは使用可能温度の表記が参考にならないものもあるため注意が必要です。
3,000円くらいの冬用と表記の有るシュラフを買ったらペラペラで、ゴールデンウィークのキャンプでも寒かった事がありました…
激安シュラフを購入すること自体は問題無いのですが、購入の際は使用可能温度の表記よりも実際に購入した人のレビューを参考にすることをオススメします。
シュラフは季節によっては寝心地以前に命にも関わってくるギアであるため、多少価格は上がってもキチンとしたものを選ぶ方が安心できるのは確かです。
とは言えかなり安いものが多いため、夏など温かい時期に標高の低い場所で使う分にはかなりコスパが良いことも確かです。
快適な睡眠にはコットもおすすめ
キャンプで快適な睡眠を得るためにはシュラフだけではなくコットもかなり重要。
シュラフの下に敷く物と言えばマットというイメージですが、薄手のマットでは寝心地が快適とは言えず、厚手のエア式やインフレータブル式のマットは膨らませる手間がかかってしまいます。
コットが有れば地面の固さに関係なくベッドのような寝心地が得られることはもちろん、地面とシュラフの間に空間が出来ることで地面の温度が体に伝わらず快適な温度をキープすることができます。
地面の凹凸を無視できるだけでなく冬は底冷えを、夏場は蒸し暑さを軽減するのに役立ちます。
ちなみに私が愛用しているのはFUTURE FOXのローコットで、低価格で軽量・寝心地も良くおすすめです。
睡眠時にコットを使用するだけでも睡眠の質を大きく上げることができるため、設営で疲れた体をしっかりと休めることができます。
もちろんコットにも「組立の手間」というデメリットがありますが、ポールを数本組み合わせるだけなので決して難しいものではありません。
キャンプを疲れた思い出にしない為にも、可能であればコットの使用をおすすめします。
ただし家族連れなど大人数で眠る場合は、コットよりも厚手のマットの方がテント内を広く使えるので過ごしやすいでしょう。
キャンプの夜の服装について
キャンプの睡眠に関連することとして、服装についても軽く解説。
キャンプ場は標高が高いことも多く、屋外に布一枚隔てたテント内で眠ることになるので夜はかなり冷え込みます。
私は長野県のキャンプ場がメインですが、真夏でも夜間は20℃前後まで気温が下がり長袖の上着が必要な事がほとんどです。
シュラフの快適使用温度は「その季節相応の十分温かい服を着た状態で快適に眠れる温度」を意味しているため、温かいシュラフが有るからと言って薄着は禁物。
夜間用の服として、着替えだけでなく防寒用の服も必ず用意しておきましょう。
夜間の服装の目安としては、夏場であれば長袖Tシャツ+綿ヤッケやシャツ、春秋であればパーカー+フリース・場合によってはダウンジャケット位の防寒能力が必要なこともあります。
夏であっても、女性の場合は厚手のパーカーを着ていることも多いです。
温かい季節でも油断せず、しっかりと保温できる上着やブランケットを用意しておきましょう。
まとめ
- 封筒型はコスパが良く快適、マミー型は保温力が高く温かい
- 化繊中綿は水濡れに強いが重い、ダウンは軽いが水に弱い
- 使用可能温度は「快適温度」を目安にする
- 快適温度が実際に使う気温よりも5~10℃高いものを選ぶ
シュラフの選び方やおすすめシュラフ、キャンプの就寝時に関することについて解説してきました。
形状や中綿によって色々な種類のあるシュラフですが、冬以外の時期であればまずは化繊の封筒型シュラフをおすすめします。
寒い時期まで視野に入れるのであればマミー型も良いでしょう。
化繊シュラフは低価格で手入れが簡単、その上十分な保温力もあるので初心者でも扱いやすいです。
また温かく眠るためにも、キャンプをする時の最低気温よりも5~10℃ほど高いものを選ぶというポイントにも注意して選べば間違い無いでしょう。
この記事が少しでもシュラフ選び・キャンプの睡眠の質の向上に役立てば幸いです。
最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。